[ 2 ] 各論敷衍/Step.1
問1 以下の酸化剤の半反応式を書きなさい
(1) 酸性条件で過マンガン酸カリウムKMnO4 MnO4− は,H+とe−を足して → Mn2+ とH2Oになる |
(2) 酸性条件で二クロム酸カリウムK2Cr2O7 K2Cr2O7は,K+,K+,Cr2O72−になる. このうちCr2O72−は,H+とe−を足して → 2つのCr3+とH2Oになる. |
(3) 酸性条件で酸素O2 O2は,H+とe− と反応して → H2Oになる. |
(4) 塩基性条件で酸素O2 塩基性にすると,H+が登場してはまずいので,(3)式の両辺に4OH− を加える. すると,H+はH2Oになるため,問題は解消するが,H2Oが左右でかぶる. そのため,2H2Oを消去する. |
(5) 酸性条件でオゾンO3 O3 は,H+ とe−と反応して,→ O21つと,H2O1つになる. |
(6) 希硝酸HNO3 希硝酸HNO3は,電離してH+とNO3−になる. このうち,NO3−はH+とe−と反応して → NO とH2Oになる. |
(7) 濃硝酸HNO3 濃硝酸HNO3は,電離してH+とNO3−になる. このうち,NO3−はH+とe−と反応して → NO2 とH2Oになる. |
(8) 熱濃硫酸H2SO4 熱濃硫酸H2SO4は,電離してH+, H+, SO42− になる. このうち,SO42−はH+とe− を吸収して → SO2とH2Oになる. |
(9) フッ素F2 F2はe−を吸収して → F−になる.(F2にF原子は2個あります) |
(10) 塩素Cl2 Cl2はe−を吸収して → Cl−になる.(Cl2にCl原子は2個あります) |
(11) 臭素Br2 Br2はe−を吸収して → Br−になる.(Br2にBr原子は2個あります) |
(12) ヨウ素I2 I2はe−を吸収して → I−になる.(I2にI原子は2個あります) |
(13) 希塩酸・希硫酸の水素イオンH+ H+ はe−を吸収して → H2になる. |
問2 以下の還元剤の半反応式を書きなさい.
(1) 酸性条件での硫化水素H2S H2S は → S単体と,H+とe−になる. |
(2) 塩基性条件での硫化水素H2S (1)に登場するH+が邪魔なので,両辺にOH−を2つずつたす. |
(3) シュウ酸H2C2O4 H2C2O4は,→ CO2とH+とe−になる. |
(4) チオ硫酸ナトリウムNa2S2O3 Na2S2O3は,Na+,Na+,S2O32−に電離する. S2O32−ふたつは,→ S4O62−とe−になる. |
(5) 酸性条件で水素H2 H2 は, → H+とe−になる. |
(6) 塩基性条件で水素H2 (5)で生じるH+がまずいので,(5)の両辺に2OH−を足して,H+をH2Oにする. |
(7) 金属ナトリウムNa / Na は → Na+ とe−になる. |
(8) 金属カルシウムCa / Caは,→ Ca2+とe−になる. |
(9) 金属マグネシウムMg / Mgは → Mg2+とe−になる. |
(10) アルミニウムAl / Alは → Al3+とe−になる. |
(11) 亜鉛Zn / Znは → Zn2+とe−になる. |
(12) 鉄Fe / Feは → Fe2+とe−になる.いきなりFe3+にはならない. |
(13) 鉛Pb / Pbは → Pb2+ とe−になる. |
(14) 銅Cu / Cuは → Cu2+とe−になる. |
(15) 銀Ag / Agは → Ag+ とe−になる. |
(16) 臭化カリウムKBr(Br−の反応)/ Br−は,→ Br2とe−になる. |
(17) ヨウ化カリウムKI(I−の反応)/ I−は,→ I2とe−になる. |
(18) 硫酸鉄(II)FeSO4(Fe2+の反応) FeSO4は,Fe2+,SO42−に電離する. SO42−は,濃度が高く高温でないと酸化還元反応はしない.Fe2+は → Fe3+とe− |
(19) 硫酸スズ(II)SnSO4(Sn2+の反応) SnSO4は,Sn2+,SO42−に電離する. SO42−は,濃度が高く高温でないと酸化還元反応はしない.Sn2+は → Sn4+とe− |
問3 過酸化水素(H2O2)の半反応式を書け.
(1) 酸性溶液中で過酸化水素(H2O2)が酸化剤として働く半反応式 主な働き H2O2がH+とe−と反応 → H2Oになる. |
(2) 酸性溶液中で過酸化水素(H2O2)が還元剤として働く半反応式 H2O2がKMnO4と反応する場合,還元剤となる. H2O2は,→ O2とH+とe−になる. |
問4 二酸化硫黄(SO2)の半反応式を書け.
(1) 酸性溶液中で二酸化硫黄(SO2)が酸化剤として働く半反応式 SO2がH2Sと反応する場合は酸化剤となる. SO2はH+とe−と反応して → S単体とH2Oになる. |
(2) 酸性溶液中で二酸化硫黄(SO2)が還元剤として働く半反応式 主な働き SO2は,O原子をふたつ得るため,H2O2つと反応し,→ SO42−,H+,e−になる. |
問5 有機物は還元剤になり,水と反応しCO2とH+になる半反応式となる.以下の半反応式を書け.
(1) 酸性条件下でメタンCH4 CH4はH2Oと反応 → CO2とH+とe−になる. |
(2) 塩基性条件下でメタンCH4 (1)の両辺にH+をH2Oに変えるために8OH−を足す. すると,両辺にH2Oが現れるので,重複を消す. |
(3) 酸性条件下でメタノールCH3OH CH3OHはH2Oと反応 → CO2とH+とe−になる. |
(4) 塩基性条件下でメタノールCH3OH (3)の両辺にH+をH2Oに変えるためにいくつかのOH−を足す. すると,両辺にH2Oが現れるので,重複を消す. |
(5) 酸性条件下でアセトアルデヒドCH3CHOが酢酸CH3COOHになる. CH3CHOはH2Oと反応 → CH3COOHとH+とe−になる. |
(6) 塩基性条件下でアセトアルデヒドCH3CHOが酢酸イオンCH3COO−になる. (5)の両辺にH+をH2Oに変えるためにいくつかのOH−を足す. すると,両辺にH2Oが現れるので,重複を消す. |